ブログに特化して「正しい引用方法」を解説!
自分のブログに誰かの文章や写真を載せる時は、著作権法で認められた「引用」の条件を満たす必要があります。
その一般的条件は、下記記事で解説しました。
ただ引用条件を満たすかどうかは、
・何を引用するのか(文章・歌詞・写真・動画など)
・どこに引用するのか(ブログ・YouTube・Twitterなど)
といった具体的なケースによります。
そこで今回は、
・ブログに
・他人の文章・写真・動画
を引用する場合の、具体的方法や注意点を解説します!
【復習】引用が認められるための条件
1.使用される著作物がすでに公表されているものであること
2.引用の条件を満たすこと
-①引用する著作物と引用される著作物が明瞭に区別できること(明瞭区分性)
-②引用する著作物が主、引用される著作物が従の関係にあること(主従性)
3.公正な慣行に合致すること
4.引用の目的上正当な範囲内であること
5.出所を明示すること
※引用である以上、引用する文章や写真に勝手に手を加えないのが原則です。
この条件に沿って、具体的に解説します!
1.使用される著作物がすでに公表されているものであること
・一般向けに発表・発売された曲や本
・一般向けに無料配布された本・冊子・フリーペーパー
・誰でも閲覧できるブログ・HP・SNS上の文章・写真・動画
こういったものは、全て「公表済み」と考えられます。
他方、
・社内の少数の担当者など、対象者を限定して配られた資料
・1対1又は複数人でのメール・SNSメッセージ・LINEでの文章や写真
こういったものは、「公表済み」の条件を満たさない可能性があります。
また会員限定コンテンツなどを引用すると、利用規約違反などの別問題も発生します。
引用は控えた方が安全ですし、どうしても引用したい場合は、許可を得た方が良いでしょう。
2.引用の条件を満たすこと
①引用する著作物と引用される著作物が明瞭に区別できること(明瞭区分性)
自分の文章や写真と、他人の文章や写真を明確に分けましょう。
文章引用の具体的方法
・WordPressの場合
→<blockquote>タグを使うのがオススメです。
・無料のブログサービスの場合
→引用する際に使う機能が付いているはずです。
・その他の方法
→「」【】””などの記号を使ったり、フォント・文字の色を変える方法もあり得ます。
ただその場合は、引用の時だけ使って下さい。
例えば、引用部分・強調部分・発言部分、全てに「」を使ってしまうと、「」が引用の意味なのか、他の意味なのか不明確だからです。
結局、「誰が見ても明瞭に区別できること」が重要です。
自分だけのルールではなく、<blockquote>のような一般的な方法が無難です。
写真・動画引用の具体的方法
・自分が文章を書いて、写真・動画を引用する場合
「文章と写真(動画)」という区別ができているので、あまり神経質にならなくて良いでしょう。
・自分が撮った写真・動画と、他人が撮った写真・動画が混在する場合
例えば写真好きの方が、「この方の写真が凄く上手い。でも自分だとこういう写真しか撮れない」といった記事を書く場合です。
この場合は、引用した写真の真下に出典を明記することが一つです(方法は後述)。
また「この写真は○○さんの写真ですが」という感じで、「これは引用ですよ」ということが分かる文章を加えれば、更に良いです。
ただし、引用は手を加えないことが原則です。
・縦横比を変えて歪める
・極端に粗い画像にする
こういったことはしないように注意しましょう。
②引用する著作物が主、引用される著作物が従の関係にあること(主従性)
自分の文章や写真が主(メイン)、他人の文章や写真が従(サブ)になるようにしましょう。
「主従」というのは、単純に量(比率)だけの問題ではありません。
引用部分の重要度、どういう読者に向けて書いているかなど、「ケースバイケース」です。
ただし、「必要最小限に留める」という意識は持っておいて損はありません。
他にも、
・全体の半分以上が引用
・ブログの内容と無関係な文章や写真を引用
・ブログの内容と引用した文章や写真の関連性が薄く、他の文章や写真を使っても差し支えない
このような場合には、主従関係が成立していない可能性があります。
また主従は、最終的には裁判所が客観的に判断します。
主観的に「自分の文章がメインだ」と思っていても、客観的に主従が壊れていたらアウトです。
3.公正な慣行に合致すること
他の人の作品を拝借する以上、慣習として用いられるようなフェアな作法に則って引用しましょう。
例えばブログで誰かを人格攻撃するために、その人の写った写真を使うとします。
他の引用の条件を満たしていても、このような目的のために使うことは公正な慣行に合致するとはいえません。
名誉毀損といった違法な投稿がいけないのはもちろんですが、同時に著作権法上も違法になる可能性があります。
4.引用の目的上正当な範囲内であること
あくまでも引用はサブとして使うものなので、それにふさわしい範囲で使いましょう。
先程の主従の話は、「引用する側とされる側の関係」の話です。
他方この条件は、「引用される側のどの部分をどれだけ使うのか」という話です。
例えばブログのうち引用部分が占める割合は1割で、比率的な主従はあったとします。
ところが、ある曲の歌詞や小説を丸ごと載せれば、「ふさわしくない」と判断されるリスクが高まります。
他方、俳句の批評のような場合は、丸ごと載せる意味が大きいので、「ふさわしくない」と判断されるリスクは低くなるでしょう。
他に例えば、
・作品の好き嫌いを語るブログであれば、その好きな(嫌いな)部分に限定して引用する
・ブログで語りたいテーマがあるのであれば、そのテーマに関係する部分だけ引用する
こういった対応で、違法になるリスクは低くできます。
5.出所を明示すること
引用元をしっかり書きましょう。
具体例
(1) 文章を引用する場合
・引用元のサイト名と、当該文章が載っているURLを書く
・本の著者と書籍名を書く
(2) 写真・動画を引用する場合
・引用元のサイト名と、当該写真が載っているURLを書く
ちなみにこの記事では、引用元の記載が不要な写真を使っています。
フリー写真を配布しているサイトは結構あります。
ただ、商用利用不可とか、引用元を書かなければならないとか、ルールは様々です。
使う前に、必ずそのサイト上で利用規約を確認して下さい。
SNSの投稿を引用する場合
ここまでの解説は、
・本を見ながら、自分のブログに打ち込む場合
・他人のブログやHPから文章をコピペする場合
・他人のブログやHPから写真・動画をダウンロードして、自分のブログにアップする場合
こういった場合を想定しています。
他方、Twitter・Facebook・Instagram・YouTubeなどの投稿を引用する場合は、各サービスの埋め込み機能を使うのが無難です。
なぜなら、上記の明瞭区分性の条件を満たしやすいからです。
文章をそのままコピペして引用する場合には、他人のブログやHPからコピペするのと同様に、引用条件を満たすよう注意しましょう。
まとめ
今回は、自分のブログに他人の文章・写真・動画を載せる具体的方法と注意点をご紹介しました。
著作権法で認められた「引用」は、どういう媒体に、何を引用するかによって方法が違うことがあります。
今回は「ブログに引用する場合」に特化した解説なので、ぜひ参考にして下さい。