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弁護士が解説!名誉毀損で損害賠償責任を負う場合・負わない場合

名誉毀損が成立しない場合がある!

SNSやブログで、事実・意見・論評を書いて、個人・会社・団体などの評価を下げたら、名誉毀損に当たり、損害賠償責任などの民事上の責任を負うことがあります。

これは名誉毀損「罪」として刑罰を受けるのとは別に、名誉を毀損された人に対して負う責任です。

【要注意】自分の投稿が「名誉毀損」になる場合を弁護士が解説

ただ、「評価を下げた=常に名誉毀損が成立」だとするなら、

・真っ当な批判でも、一切書けないの?

・詐欺被害や社会問題についても、一切書けないの?

・ショップや商品のレビュー記事で、ネガティブなことは一切書けないの?

そういう疑問も湧くはずです。

でも、「評価を下げたのに、名誉毀損が成立しない場合」があります。

今回は、その例外的な条件について解説します!

以前解説した名誉毀損「罪」の時と似ていますが、違う部分もあります。
どちらの知識も、抑えておくのがオススメです。

弁護士が解説!他人の評価を下げても名誉毀損罪が成立しない場合とは?

書いた内容によって、名誉毀損にならない条件が違う!

損害賠償責任などの民事的責任を負う場合には、2種類あります。

①「事実」を書いて、評価を下げた場合

②「意見・論評」を書いて、評価を下げた場合

それぞれ少し条件が違うので、分けて解説します。

①「事実」を書いて、評価を下げた場合

最高裁判所の判決(平成9年9月9日)を要約すると、次の場合には名誉毀損は成立しません。

(1)公共の利害に関する事実であること(公共性)

(2)その目的が専ら公益を図ることにあったこと(公益性)

(3)書かれた事実が重要な部分について真実であると証明したこと(真実性)

(4)(3)の証明ができなくても、その事実を真実と信じる相当の理由があったと証明したこと(相当性)

どれか一つではなく、(1)+(2)+(3)又は(4)の全てを満たす必要があります。

各条件について解説

詳しく解説すると膨大な量になるので、「最低限知っておくべきこと」に絞って解説します!

(1)公共の利害に関する事実であること(公共性)

「SNS投稿・ブログ記事のテーマが、公共性のあるテーマである」ということです。

典型例は、政治家の信頼に関わることです。

食や建物の安全性、大企業に関することなども、「公共性有り」と認められやすいテーマでしょう。

例えば、
・どこどこの冷凍食品に、虫が入っていた
・どこどこの建設会社は、耐震偽装をしている
といったことです。

(2)その目的が専ら公益を図ることにあったこと(公益性)

「SNSやブログを投稿した主たる目的が、公益を図るためにある」ということです。

分かりやすく言うと、投稿者の個人的な恨みを晴らす目的や嫌がらせ目的ではなく、皆の利益のために投稿した場合です。

「ある政治家が賄賂を受け取っていた」といった内容は、基本的に公益を図るためと言えるでしょう。
政治家の行動を知ることは、皆の利益になるからです。

他方、嫌がらせ目的で書いた場合などは、公益性は否定されます。

この「目的」というのは、本人の気持ちの問題ですから、外からは見えません。
しかし、本人が「公益のためだった」と言えばなんでも通るわけではありません。

最終的には、様々な証拠をもとに裁判所が判断します。
その結果、本人がいくら「公益目的だった」と言っても、公益性が否定されることも十分あり得ます。

「怪我をさせるつもりはなかった」と言っても、ハンマーで殴っていれば、「怪我をさせるつもりだったでしょう」と判断されるのと同じです。

(3)書かれた事実が重要な部分について真実であると証明したこと(真実性)

これは文字通り、「SNSやブログに書いた内容の、重要な部分が本当のことだった」と証明できた場合です。

(4)真実であると証明できなくても、その事実を真実と信じる相当の理由があったと証明したこと(相当性)

「SNSやブログに書いた内容が本当のことだった」と証明できなくても、「本当のことだと思った」ということについて、相当の理由があったと証明できた場合です。

どれだけ調べても、結果的に間違いだったということはあり得ます。
それで常に名誉毀損が成立するなら、怖くて何も書けませんよね?

そこで、「真実だと信じても仕方なかったですね」という場合は、名誉毀損は成立しないことにしたのです。

ただ「相当の理由があった」という証明は、そう簡単ではありません。

・有名な人が言ってたから
・たくさんの人がツイートしてたから
この程度では、正当な理由は認められないと考えた方が良いでしょう。

マスコミであれば取材や裏付け調査も行うでしょうが、一般の方がそれを行うのは困難です。

誰かの評価を下げるようなことを書く場合は、かなり慎重になって下さい。

たとえ、善意や正義感で発信する場合も同じです。
ネット上では特に、正義感からした投稿が元でトラブルになることが多くあります。

②意見・論評を書いて、評価を下げた場合

最高裁判所の判決(平成9年9月9日)を要約すると、次の場合には名誉毀損は成立しません。

(1)公共の利害に関する事実であること(公共性)

(2)その目的が専ら公益を図ることにあったこと(公益性)

(3)意見・論評の前提としている事実が、重要な部分について真実であると証明したこと(真実性)

(4)(3)の証明ができなくても、その事実を真実と信じる相当の理由があったと証明したこと(相当性)

(5)人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでないこと

(1)〜(4)は、先程解説した「事実を書いた場合」と基本的に同じ構造です。

ただ(3)・(4)が、事実そのものではなく、「前提としている事実」について真実性又は相当性を求めている点が、先程の場合と異なります。

意見・論評は人によって違うので、その前提となった事実を問題にするわけです。

意見・論評の前提となった事実が「真実だ」と証明できなければ、この条件を満たしません。

つまり間違った事実に基づいた意見・論評は、基本的にアウトです。

さらに意見・論評の場合は、新たに(5)が追加されています。

つまりその投稿や記事が「人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したもの」であれば、他の条件をクリアしても名誉毀損が成立します。

意見や論評というのは、人の感じ方や考え方によって大きく変わります。
色んな人の意見や論評があってこそ、社会がより良くなっていったり、誰かの役に立つことも多いでしょう。

ところが最高裁は、人身攻撃に及ぶようなものは、もはや許される意見・論評ではない、と言っているんです。

「これは単なる意見です」ということでは逃れられない場合がある、ということは頭に入れておいて下さい。

まとめ

今回は、「ある事実・意見・論評を書いて、個人・会社・団体などの評価を下げても、名誉毀損が成立しない場合」について解説しました。

事実を書いた場合と、意見・論評を書いた場合で、少し条件が違うので注意して下さい。

いずれにしても、条件をクリアするのは「かなり難しい」と考えて頂き、発信には十分気を付けるようにして下さい!