Lawyers for influencers

弁護士がお届けする、SNSとブログの法律知識

文章や写真の「引用」に許可を求めるメリット・デメリットとは?

「引用」に相手の許可は必要?

著作権法で認められた「引用」の条件を満たせば、自分のSNSやブログに、他人の文章・写真・動画などを載せることができます。

弁護士が解説!著作権法で認められた「引用」の条件とは?

ポイントは、「無断で引用できる」という点です。
事前の許可はもちろん、事後の通知・報告も不要です。

つまり法律上は、引用条件さえ満たしていれば、許可を得ることは無意味なんです。

ただ我々が受けてきた法律相談や、長年ブログを書いてきた経験から、実は「許可を求めるメリットはある」と考えます。
一方、デメリットもあります。
それは純粋な法律的観点というより、実践的観点も含みます。

そこで今回は、許可を求めるメリット&デメリットを解説します!

メリット

1.無断引用が適法だと知らない方と、無用なトラブルを避けやすい

2.無断引用は失礼だと考える方と、無用なトラブルを避けやすい

3.引用条件を満たしていない場合の保険になる

4.相手とつながりを作れることがある

1.無断引用が適法だと知らない方と、無用なトラブルを避けやすい

・「引用条件を満たせば、許可は要らない」ということを知らない方
・「引用条件を満たせば、許可は要らない」ということは知っていても、その条件を知らない・誤解している方

こういった方は、一定数いらっしゃると思います(法律は難しいので、仕方ない面はあります)。

そして偶然そういった方の文章や写真を無断引用した結果、

・その方から直接クレームを受ける

・その方が勤務先にクレームを入れる

・その方がSNSやブログで「違法なことをされた」と発言する

こういったことも想定されます。

もちろん引用条件を満たしていれば、「法律上は」問題ありません。
ただ世の中は、そう単純ではありません。
その方の周囲が、「そんな酷いことをするなんて許せない!」と同調する可能性もあります。

こういったことに巻き込まれると、単純にストレスですよね。
そう考えると、許可を求めるメリットはあります。

もし拒否されれば、引用を止めることでトラブルを未然に防げるでしょう。

2.無断引用は失礼だと考える方と、無用なトラブルを避けやすい

失礼かどうかは、個人の考え方や業界の慣習によって異なります。
ですから「法律上は問題なくても、無断引用は失礼だ」と考える方もいらっしゃると思います。

偶然そういった方の文章や写真を無断引用した結果、1で書いたような事態に発展しかねません。

いくら「法律上は問題ありません」と主張しても、「そういう話ではない」とか「それでも事前に連絡するのが筋だ」と言われることもあり得ます。

そう考えると、許可を求めるメリットはあります。

3.引用条件を満たしていない場合の保険になる

無断引用するには、著作権法上の引用条件を満たす必要があります。

ところが著作権者の許可があれば、引用条件を満たす必要はありません。

・引用条件がよく分からない

・引用条件を満たせるか微妙

こういう場合は、許可を得ておけば、条件を満たしていなかった時の保険になります。

4.相手とつながりを作れることがある

1~3は少しネガティブな話でしたが、4はポジティブです。

世の中には、自分のSNSやブログが引用されることを、好意的に受け取る方も少なくありません。
ポジティブな内容で引用してもらえたり、自分の投稿や記事を褒めてもらえるなら、尚更でしょう。

あなたが書いた記事が良い内容なら、「シェアしますね!」と言って下さることもあるでしょう。

ですから許可を求める過程で、

・記事をシェアしてもらえる

・それを機につながりができる

・相手から好印象を持ってもらえる

こういったこともあり得ます。

デメリット

1.「ダメ」と言われたらトラブルになりかねない

2.手間や時間が掛かることがある

1.「ダメ」と言われたらトラブルになりかねない

許可を求めたところ、断られたとします。

そもそも著作権者に、「良い・悪い」を決める権利はありません。

ただ現実問題として、「ダメ」と言ったのに引用されたら腹が立ちますよね。
その結果、直接クレームを受けたり、SNSやブログに批判的なことを書かれるかもしれません。

何も言わず引用できていたのに、断られたことで、
・引用を止めるか
・トラブル覚悟で引用するか
という選択肢しかなくなります。これは痛いです。

2.手間や時間が掛かることがある

「許可するか決めるために、公開前に記事を見せて下さい」と言われることもあるでしょう。

そして見せた結果、
・返事がなくて公開できない
・修正や確認を求められて手間が掛かる
といったこともあり得ます。

断られることは、結構ある

「なんで断るの?」と疑問に思うかもしれませんが、その事情もよく分かります。

例えば、

・許可すると、積極的に協力したような印象を与えてしまう(特に、引用する側が「○○さんに許可を頂きました」と書いた場合)

・どういう展開になるか分からないから、とりあえず拒否

・記事や投稿の内容に、責任が生じるような気分になる

といったところでしょうか。

そういったリスクを背負ってまで許可するというのは、結構ハードルが高いものです。

結局、どうすれば良いの?

メリット・デメリットをご紹介しましたが、一概に許可を求めた方が良い・悪いとは言えません。

結局はケースバイケースですが、無断引用に対して厳しそうな相手なら、許可を求めた方が良いかもしれません。
断られてしまって、「何も言わなきゃ引用できたのに…」ということもあり得ますが、無断引用してトラブルになるよりは良いでしょう。

他方、快く応じてくれそうな相手なら、つながりを作る意味で許可を求めるのも一つです。

許可を求めるのであれば、相手が許可しやすいように、記事の趣旨や引用の理由をきちんと説明する方が良いでしょう。

また、「そもそも引用する必要があるのか?」と考えてみるのも一つです。

引用の際には出所としてリンクを貼りますが、それによって自分のブログから離脱されることもあります。
また、あまり他のサイトの権威性に頼っていると、自信がなさそうに見えるかもしれません。

まとめ

今回は、著作権法上の引用条件を満たす前提で、それでも著作権者(文章を書いた方など)の許可を求めるべきか?というテーマを解説しました。
法律上は許可を得る必要はありませんし、許可を求めることのデメリットもあります。
ただ実際上のメリットがある場合もあるので、ケースバイケースで判断して下さい。